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下肢静脈瘤とは
下肢静脈は、足の静脈血を心臓へ戻すための血管です。足から心臓に血液を一方通行で戻すために下肢静脈の中には何か所も静脈弁があります。その静脈弁(逆流防止弁)が壊れることを弁不全といいます。 弁不全が起こると静脈血が足先に向かって逆流し始め、体表から見える静脈が拡張したり、太く屈曲して見えてきます。これが下肢静脈瘤です。「下肢静脈瘤」は、静脈血管の故障といえます。
下肢静脈瘤の症状
静脈血が貯留することでさまざまな症状が起こります。
- 外観:大腿部、下腿部、足先、様々なところの血管が拡張します。
細い血管が見えるものから太くて蛇行した血管が見えるものまであります。 - 自覚症状:足のだるさ、疲れやすさ、重苦しさ、熱っぽさ、夜間のこむら返り、かゆみ、痛みなど
- 皮膚炎(血液貯留に伴ううっ滞性皮膚炎)症状
色素沈着、湿疹、硬くなった皮膚、皮膚潰瘍など
下肢静脈瘤の検査
下肢静脈エコー検査
下肢静脈の診断に必須です。エコー検査は、身体に優しく、外来ですぐできます。専門医によるエコー検査を受ければ、どの静脈がどの程度故障しているのか、どのような治療を行えば治るのかがわかります。
3DCT検査
当院では、さらに治療前にCT検査をお勧めすることがあります。写真のごとく圧倒的に詳しい静脈情報が得られるため、治療の質が上がり、再発を減らすことが期待できます。
当院の下肢静脈瘤の治療
- 日帰り、入院不要、保険適応
- 治療後の通院は通常3回(術後3日以内、1週間後、1か月後)
その後は状態によって3か月、1年後で定期チェック - あなたの静脈瘤の程度により以下の治療方針に則った治療をご提案
【治療方針】
1. 痛みの少ない
2. 傷口の目立たない
3. 身体への負担の少ない
4. 再発の少ない
5. 合併症の少ない
治療法
下肢の血管の膨らみが気になり、下肢静脈瘤による自覚症状(だるさ、むくみ、こむら返り、皮膚炎など)がある場合は、下記の治療(保険適応)によって症状の改善を図ります。
- 圧迫療法
むくみが中心の静脈瘤(エコーで伏在静脈逆流がないか軽い) - 硬化療法
細い静脈瘤(エコーで伏在静脈逆流のない) - 血管内治療
太い静脈瘤(エコーで伏在静脈逆流のある)
圧迫療法について
むくみ、だるさなどがある静脈瘤でもエコーで伏在静脈の逆流がないか軽い場合、患者様の状態によっては、積極的な治療をお勧めしない場合があります。その場合は、生活習慣の改善や弾性ストッキングの着用が中心になります。弾性ストッキングには型(ハイソックス、長いタイプ、パンスト、つま先有り無し)、圧迫圧もさまざまありますので、病状に合せて着用圧測定を行いながら選びます。
硬化療法について
細い注射針を使って泡状になった薬を静脈内に注入します。薬が注入された静脈瘤は細いもので1~3か月、やや太いもので6~12か月で徐々に目立たなくなっていきます。時に色素沈着、硬結を残す場合があります。治療は静脈瘤の範囲によって約5分から15分です。
血管内治療について
当院では2011年に旧レーザー治療開始、2014年から新型レーザーと高周波治療を開始、2018年からは最新型の細径レーザーも使用。2020年からグルー治療(接着剤)を開始。年間300~400例、毎日2例の手術を施行。
治療前には不明な点や不安を解消できるよう患者様としっかり相談いたします。
(1)血管内焼灼術
(レーザー治療・高周波治療)
(2)血管内塞栓術(瞬間接着剤治療)
(1)血管内焼灼術
局所麻酔した静脈をⓐレーザー照射やⓑ高周波の熱で治療します。前もって痛み止めの軟膏を塗ってから注射するのが当院の特徴です。治療中は鎮静剤でウトウトした状態で行います。所要時間は20~40分程度。 治療で逆流が止まった血管は1年くらいかけて細くなっていきます。
ⓐレーザー(2ring スリム)
あらゆるタイプの静脈瘤、屈曲した静脈、再発例、足首まで逆流を認める例、うっ滞性皮膚炎のある重症例の治療、ボコボコしたふくらはぎの静脈瘤を同時にレーザー治療できる。重症例に対して高い根治性を求めるような細やかな操作が必要な静脈瘤に最適。
ⓑ高周波
比較的直線的な静脈に使用、ボコボコしたふくらはぎの静脈瘤は、1㎜切開口から切除する。膝から上だけに逆流のある定型的な軽症から中等症の静脈瘤に最適。
(2)血管内塞栓術(グルー)
2020年から本邦でも保険適応になった新しい瞬間接着剤治療。逆流のある伏在静脈を接着させ逆流を止める方法。局所麻酔をほとんど使用しないこと。術後に弾性ストッキングを着用しなくていいのがメリット。
デメリットは、ふくらはぎのボコボコした静脈瘤は自然経過で消失するのを待つため、治療数か月後に静脈瘤が気になる場合は改めて硬化療法を要すること、接着剤によるアレルギー反応など。
(1)血管内焼灼術と(2)血管内塞栓術の違い
❶麻酔方法・範囲の違い
❷日帰り手術の流れ
手術 | レーザー・高周波(血管内焼灼術) | グルー(血管内塞栓術) |
---|---|---|
1時間前 | ご来院・着替え・麻酔クリーム塗布 | |
15分前 | 点滴・手術室入室 | |
5分前 | 鎮静剤点滴・少し眠くなる | |
開始 | 消毒・局所麻酔注射数か所 カテーテル挿入・血管周囲への浸潤麻酔数か所 レーザーまたは高周波による熱処理 瘤処理(切除またはレーザー) |
消毒・局所麻酔注射1か所 カテーテル挿入 グルーによる接着処理 瘤処理は基本的に行わない |
終了 | 20~40分 創部縫合なし、テープにて閉鎖 包帯・弾性ストッキング着用 |
20~40分 創部縫合なし、テープにて閉鎖 弾性ストッキングなし |
15~30分 | 下肢メドマーマッサージ(血栓予防) | 安静 |
30分後 | ご帰宅(車・歩行可) |
❸治療後の生活について
下記は病状によって異なりますので、その都度説明いたします。
レーザー・高周波(血管内焼灼術) | グルー(血管内塞栓術) | |
---|---|---|
当日 | 仕事休み 入浴・シャワー禁止 歩行・運転可 食事制限なし 飲酒禁止 |
|
翌日 | 受診・就業・軽い運動可 シャワー可 飲酒・飛行機禁止 弾性ストッキング着用 |
|
1週間後 | 受診 | |
1か月後 | 受診 |
(3)その他の手術(高位結紮兼ストリッピング術)
逆流のある伏在静脈をワイヤー状の器具で取り出す方法。
血管内治療と同様に日帰り治療。治療時間は、40~60分。局所麻酔を行って、約1㎝の切開が2か所必要。効果は、血管内焼灼術とほぼ同等。当院では2005~2014年までは主流の治療法で約800例施行。現在は、上記血管内治療ができない場合のみ施行。
予約の案内
下肢静脈瘤の診察を希望される方はお気軽にお電話ください。
毎日手術枠あり。
下肢静脈瘤治療に関する認定証
血管内焼灼術実施施設
血管内焼灼術施行医
血管内焼灼術指導医
VenaSealクロージャーシステム
実施認定証